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山に宿る、四季の気配

山々を歩くなかで出会った、四季折々の景色。
その瞬間、そこには確かに“何か”が宿っていた気がします。
過去に私が紡いだことばと写真を通じて、ここ青森の季節の気配を感じていただけたら嬉しいです。

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『雪解け』

長い眠りから目覚めた大地は
大号令をかけたに違いない

生物はその使命をはっと思い出したように
一斉に動きはじめた

光を求め
水を求め
獲物を探し
敵から身を守り
子を産み育て
虫を誘い
胞子を飛ばす

山はユートピアなどではない
生存をかけた戦いの歴史が刻まれた場所

命を紡ぐ壮大な物語は
昼夜を問わず
そこかしこで繰り広げられている

私は無数に存在するその物語の
ほんの数冊ほんの1ページを
垣間見ているに過ぎない

(2024.6.1)
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毛無岱湿原は依然として濃い霧に包まれていた。
ぼんやりとしてなんとなく捉えどころのないその風景を
私は納得のいかないまま
カメラに収めながら歩き続けた。

その時、突然周囲が明るくなった。
薄い雲のヴェール越しに
太陽が湿原をそっと撫でていく。

同時に黄色い花の絨毯が
鮮やかに眼前に浮かび上がった。

ガラス玉のような雨のしずくを無数に乗せた
キンコウカの花弁は
綺麗な星のかたちをしている。

金色の星々が散りばめられた草原の上を
静かに流れる陽光を
私はしばらくの間眺めた。

(2022.7.24)
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この時期の大岳を
今回久しぶりに歩いてみると
ハイマツやトドマツのグリーンの下地に映える
色付いた木々の美しさに驚きます。

燃えるような派手さはないけれど
赤や黄色や橙の絵の具を落としたような
模様のひとつひとつが
一本の樹木であり生命なんだ。

そんなことを
私たちに思い出させてくれる光景でした。

この山の斜面は沢地形に沿って
縦に紅葉ラインが走っています。
鏡沼のほとりにも多く色付いた木々を見かけました。

過酷な環境の中少しでも風を防げる窪んだ地形にのみ
広葉樹が育つのかな…と想像したら
胸に込み上げてくるものがありました。

(2021.9.20)
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抜けるような青空の下
北八甲田の山々が微笑みながら私たちを見下ろしていた。

前夜降った雪は
本来の姿を保ったままふんわりと積もっている。

見渡す限り真っ白なブナの梢の隙間から
朝日が雪面を照らし出した。

結晶のひと粒ひと粒がそれに反射して
無数に散りばめられたダイヤモンドのように輝いていた。

遮るものは何もなかった。
恐れるものも何もなかった。

すべてが整い自分の味方をしてくれる日。
そういう完璧な日に巡り会うことが、
ごく稀にあるらしい。

『THE DAY』

今日はまさにその日だった。


(2023.1.19)
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